2019.12.09

樹脂現場インタビュー

お読みいただきありがとうございます。
皆さんはほぼ間違いなく、設計する部品や機構の中で、一度は樹脂を扱ったことがお有りかと思います。
しかし、加工現場の方の声を実際に耳にしたり目にしたりする機会は難しいのではないでしょうか。

今日は、三研工業で7年間樹脂加工に携わっておられる石橋さんにお話を伺っていきます。
インタビュワーは、営業の道政さんです。営業視点と現場視点が混ざり合う、興味深いインタビューをご覧ください。
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道政:今日は「樹脂」について、いろいろと質問をさせて頂きます。よろしくお願いします。

石橋:よろしくお願いします。

道政:早速ですが、、石橋さんは樹脂の加工にかかわられて何年目ですか?

石橋: 7年目です。

道政: 7年だと長くいる印象ですが、、三研工業の現場は歴が長い人が多いですよね!

石橋:そうですね、、この業界を10年20年続けてる人が多いからね!!

道政:今日は樹脂の担当の石橋さんに、 「樹脂の製作で安いと言ってもらえる秘訣」を聞きたいのですが、、樹脂の材質はかなり安く仕入れられているというのはよく耳にしますが、、、それは本当ですか?

石橋:本当ですよ(笑)材料メーカーから直で仕入れているので安くできます。商社も今、価格競争なので、いろんな材料メーカーが安くしてくれています。鳩谷さんとか長くいる方々が、本当に昔から付き合いが深くて、上手いことやってきたから、今の価格があるんですよね。

道政:やはり付き合いが長くて、関係も深いからなんですね。

石橋:はい。やはりこういうのも、人と人との付き合いですからね。信頼関係がけっこうあるので、安く仕入れられるようになったりという感じですね。

道政:有難う御座います。中でも、樹脂材でも少し高めの、ガラス入り、カーボン入りの樹脂などは価格面でも喜んでもらえることが多いように感じています。

石橋:価格が高めの材質は違いが出やすいかもしれないですね。

道政:はい。私のお客さんでもGF材、CF材の需要は多いです。ところで、GF材がガラス入り、CF材がカーボン入りということはわかるんですが、特性での違いって何ですか?

石橋:GF材とCF材って、もともとは炭素が入っているという点で一緒ですが、違いとしては
・GF材としては黒も白もある。CF材は黒しかない。
・CF材は導電性で電気が通る。GF材は電気が通らない。
・CF材の方が摺動性がある
・軽量を求めているならカーボンの方が良い
などの違いがありますね。

道政:勉強になります。。
CF材やGF材について加工で気を付ける点はどういう点ですか?

石橋:CF材は繊維の方向があるので、加工するときは気を付けないといけないです。GF材については、反りとかが発生しやすく、こちらも向きなどに気を付けないといけないですね。

道政: 有難う御座います。PEEKも値段高めですけど、どういう特性があるんですか?

石橋:耐熱性、耐薬品性があるので、作る製品、部品の特性としてそのあたりを求めている人には良いものですね。確かに値段は高いですけどね・・・でもうちなら、多少値段は抑えられます。

道政:樹脂は公差が出しにくいと思いますが、公差や精度を出す工夫は、どのようなことをしていますか?

石橋:主軸の回転数を変えると、まっすぐ削りやすくなるので、精度も出ます。刃物で削るときに、根本より刃先の方がぶれやすい。それを回転数を上げることでぶれにくくなるイメージです。あとは刃物の動く速度も調整したりしますね。

道政: いろいろな日々の工夫が品質につながっているんですね、、
それでも材質の特性や加工機械で限界はあると思いますが、その場合も現場の方々と相談しながらお客さんに提案すると、加工図面の大事なところは限られているので、品質的には喜んでもらえるんですよね。

石橋:加工図面で想像がつくこともあるけど、やはり形状や考査の大事な部分、嵌合や用途を聞かないと加工者側も提案できないことがあるので、営業さんがお客さんの要望をヒアリングして来てくれると提案しやすいですね。

道政:はい。頑張ります。
樹脂の特性、加工図面によって、形状や別の材質を提案したケースは、どういう事例がありますか?

石橋:分割接着などの場合などもありますね。
接着で作る場合、ABS,ポリカをお勧めしています。薬品で溶かして接着することが多いですが、使う薬品によって溶けるもの溶けないものがあるんです。なので分割接着必要だと、可能な材質で提案したりしてますね。どうしてもの場合だと、熱溶接とか、他のやり方もあるんですけど、基本的には薬品でやることが多いですね。

道政:なるほどです。。

石橋:あとは用途によって、提案することはありますね。図面見て何となくわかることもあるんですけど、やっぱりお客さんに聞いてみないとわからないので、営業さん通して確認して、提案することが多いです。

道政:営業がハブとしての役割をしっかりこなすことが重要ですね。

石橋:あとは、どちらかというと形状を変更したりする方が多いです。
D型の穴にD型を入れる場合、穴の角に角Rが残るとD型が入らないので、逃げを作って入るようにするとか。
あと、肉逃げとか肉盗みって言い方をするんですけど、軽量化のために穴をあけたりすることがありますよね。そこを掘らないと値段安くなりますよ、と提案することはある。
やっぱり試作が多いので、量産の段階では必要でも試作段階だといらないこともあるので、、、
「少しでも安く作る方法を知りたい」とおっしゃるお客さんには、伝えて提案することはありますね。

道政:私もそういった提案ができる営業マンを目指して、加工技術や材質についての知識を深めていこうと思います!!

今日は有難う御座いました!!

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技術者、石橋さんの加工に関する経験が存分に引き出されたインタビューでした。
また、営業の道政さんもこのようにして長年の経験を引き継いでいきます。
技術者と営業の距離が近いからこそなせる、知識の継承。
ぜひ、三研工業で実感して下さい。